埼玉医大国際医療センター
病理診断科の概要
昨今の分子病理学との融合や臨床現場におけるゲノム医療の普及とともに,病理学/病理診断学に従事する病理医には益々広い視野と洞察力が求められています。
このような情勢下,病理学会主導で分子病理専門医制度が立ち上がり,我々病理医は新局面にたおやかに対応しながらも,信念をもってしたたかに「臨床現場に精度の高い情報を提供する病理学/診断学の責務」を追い求める存在であることに変わりはありません。
機構による病理専門医制度の変革も次第に定着するなかで,剖検の減少は専門医を育てるための環境不全ともいうべき懸案のようです。近い将来において応用が始まることになると予想されるAIは,どのような展望を病理学/病理診断学にもたらすのか,少しの不安と大きな期待が入り交じる時代とも言えます。
全国有数の癌施設で新境地開拓に臨む
病理診断科が扱う検体は13,097件(2023年実績)まで年々膨らんできています。とりわけ,手術検体の割合が高いために,ブロック数からみると大学病院レベルの平均(= 1検体あたりのブロック数)を上回っています。また,昨今は急激に他施設標本のconsultation/reviewが増えてきました。
現在,我々は当科所属専門医6名,他科所属の病理専門医1名,病理専修医1名,臨床フェロー1名,非常勤医6名で診断業務に携わっています。これらの体制を15名の臨床検査技師(10名が細胞検査士,認定病理技師5名)と1名の事務担当者/秘書が支えてくれています。
ジェネラルな疾患から先進医療,研究までを網羅できる体制
我が埼玉医大は,それぞれに特徴/個性をもった3つの病院からなる群を形成し,それらは個々に一つの大学病院規模のスタッフや専門性を兼ね備えています。3つの病院が合わされば本邦では最大ともいうべき医療施設を誇ります。
初期教育(early course)はもちろんのこと,専門性修練 (advanced curriculum)の環境を提供し,さらには国際医療センターに併設されているゲノムセンターの利点も生かして研究や学位取得に専念することも可能です。
医療の現場/実践から基礎的研究にアプローチする距離がかなり近いことも国際医療センターの特徴です。
次なる展望への挑戦
いずれの時代にあっても,病理医にとっては診断の確実性と迅速性の維持,向上に対峙しつつ,医療安全と質の担保に努めることが根底にある最重要課題です。時代を切り開くことへの活力に満ちた人材を求めています。
当センターの一員に加わって,病理医としての将来展望を模索してみませんか。お待ちしています。
豊富ながん症例で十分な研修体制
当センターは2007年春に癌,心血管疾患の治療,および救急を担う病院として開設され14年目を迎えています。初期は400床が稼動していましたが,マンパワーの質的充実かつ量的増加,ハード面の強化・進化とともに現在は700床が90%弱の稼働で運営されています。
癌治療の観点からは,全国的に見ても多くの癌患者さんを扱うまでに成長しました。加えて心・脳血管疾患においても最先端の医療技術を誇る機関としての評価を得ています。心臓移植はこの13年間で既に11例にのぼります。なかんずく,救急は名実ともに地域医療を支える砦のような存在へと発展を遂げてきました。